テラス・デュ・ラルザックにおけるカリスマ的存在の天才醸造家。

マス・ジュリアン Mas Jullien

France/フランス

Languedoc/ラングドック
Jonquière/ジョンキエール

南フランスで見かける広大な土地に建っている南仏風の館を「mas=マス(フランス語では珍しく末尾のエスの発音をする)」といいます。アルプスから吹き降ろしてくるミストラルと輝く太陽をシャットアウトしているかのように、館の窓が小さいのが特徴です。                        

マス・ジュリアンは、テラス・デュ・ラルザックにおけるカリスマ的存在の天才醸造家オリヴィエ・ジュリアンが手掛けるドメーヌです。ワインの高い品質とオリヴィエ自身の土地とワインへの深い愛情により世界中のワインファンから熱狂的支持を集めており、毎年極少量しか譲り受けることが出来ません。フランス国内でも同様に入手困難で、現地の方々に彼のワインを日本に輸入している旨を伝えると決まって非常に驚かれます。

1970年代後半、安価なワインを何十年にもわたってあまり考えられずに造り続けていたラングドックのブドウ畑が危機的な状況にあるのを少年時代のオリヴィエ・ジュリアンは目の当たりにしていました。彼は若干20歳の時にドメーヌを引き継ぎ、家族経営の農場の別棟の一部をセラーに改造し、マス・ジュリアンのラベルでワインの醸造と瓶詰めを始めました(1985年)。優れたひらめきを持ち雄弁なオリヴィエはそれ以降、常に発見を求め、知性と敬意を持ってブドウ栽培の方向性を示してきました。そしてテラス・デュ・ラルザックを輝かせるために精力的に土地を開墾し続けてきました。植えられるブドウの品種は何度も変更され、区画も変更され、ついにオリヴィエは新たな偉大なテロワールの可能性を見出すことになります。そのあくなき情熱は自らの父親であるジャン・ピエールに1993年協同組合から撤退し、自分(父)のドメーヌとなるMas Cal Demoura(マス・カル・デムーラ)を設立するよう促す程でした。

現在、マス・ジュリアンは、モンペイルー(Monpeyroux)の南西、地中海から40km内陸にあるジョンキエール(Jonquière)の周囲に点在する15haのブドウ畑を管理しています。ブドウの樹はモン・サン=ボディルの麓、ラルザック高原の岩だらけの段丘の、この地域で最も標高の高い標高900メートルまでの場所に植えられています。ブドウ畑ではオーガニックとビオディナミを実践。モンペリエの北西に広がるこのAOCはラングドックのブドウ栽培地としては最北端に位置し、ラルザックのカルスト山地から吹き付ける北風と相まって、夏季昼夜の気温差が大きく20度以上になるため、ブドウがゆっくり、じっくりと熟し、複雑なアロマとフレッシュさが賦与されます。生み出される赤ワインはストレートでフレッシュ。チョーキーでストラクチャーがあり、若いうちは控えめな味わいですが、独自の輝きを持っています。緻密で口当たりはビロードのようで、余韻は素晴らしいエネルギーを表しています。テロワールを反映し見事に熟成し、約10年後にようやくその味わいが完成します。白に関しては、ボックスウッドの香りと微妙なスモーキーさを持ち、高貴なハーモニーを奏でています。

オリヴィエと初めて会ったときのことは、ある意味革命的なもので、衝撃的でした。土地の価値を証明するという道徳的使命を持つ創造的な天才に出会ったというイメージです。今から8年前の2016年にオリヴィエは、ワイン醸造における自分の方向性がようやく固まってきたと語ってましたが、ひらめきと計り知れない向上心を持つ彼のこと、さらに変化していくかもしれません。

彼から譲り受けたワインは、単純に言えば、我々のポートフォリオの中で最も重要で魅力的なワインの一つです。

  • IGP・ペイ・デロー・ブラン

    世界中のカルトワインコレクターから高い人気を集める白。20年以上の長期熟成可能。

    IGP Pays d'Herault Blanc IGP・ペイ・デロー・ブラン

    使用ブドウ品種:カリニャン・ブラン70%、シュナン・ブラン30%
    タイプ:白・辛口

    ブドウの平均樹齢は40年。土壌は石灰質土壌。破砕、除梗したブドウを600Lのドゥミ・ミュイ(demi-muids)で発酵、澱と共に12ヶ月間熟成。凝縮した果実味。ミネラル豊富で複雑な香味。白ワインで知られる高級アペラシオンでもめったに見られない、幅広いニュアンスとシルキーなテクスチャーを発展させながら優雅に熟成。

  • ルー・ルージョ・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    キレイな酸を残しフィネスがある。バランスがとても良く食事を引き立ててくれる1本。

    Lous Rougeos Terrasses du Larzac Rouge ルー・ルージョ・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    使用ブドウ品種:カリニャン50%、シラー40%、グルナッシュ10%
    タイプ:赤・フルボディ

    ラルザック高原の崖のふもとにある標高400mのサン・プリヴァ村を見下ろす石灰岩土壌の区画。15年前までは自家消費用。オリビエ・ジュリアンによりその潜在能力が開化。主にコンクリートタンクにて15~20日間発酵。マロラクティック発酵を行い、ドゥミ・ミュイで14ヶ月間熟成後12ヶ月間フードルで熟成。

  • オトゥール・ドゥ・ジョンキエール・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    約10の「リュー・ディ」のブドウをお互いの補完性を考慮して絶妙にブレンド。

    Autour de Jonquières Terrasses du Larzac Rouge オトゥール・ドゥ・ジョンキエール・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    使用ブドウ品種:カリニャン45%、ムールヴェードル45%、シラー5%、グルナッシュ5%
    タイプ:赤・フルボディ

    ブドウの平均樹齢は35年。土壌は石灰質、砂利質。手作業による収穫。複数回にわたる厳しい選別。完全に除梗。ブドウ品種とテロワールに応じて主にコンクリートタンクにて15~25日間発酵。マロラクティック発酵。600Lのドゥミ・ミュイでブレンド、12ヶ月間熟成後、12ヶ月間フードルで熟成。多くの場合軽く清澄、濾過は行われない。素直でバランスが取れ、深みがあり、そして何よりも抑制された果てしない力強さを備えたワイン。真価を発揮する為には7年から15年の熟成が必要。

  • ラ・ブリュヌ・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    シルキーなタンニン、熟した果実味。若いうちから柔らかく親しみやすい。

    La Brune Terrasses du Larzac Rouge ラ・ブリュヌ・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    使用ブドウ品種:樹齢の高いサンソー、グルナッシュ主体、他カリニャン
    タイプ:赤・フルボディ

    2016年に初めて作られた粘土質の特別なテロワールを持つ単一畑のブドウを使用したワイン。フードㇽで12ヶ月間熟成したものとコンクリートタンクで6~12ヶ月間熟成したものをブレンド。オトゥール・ドゥ・ジョンキエールより柔らかく親しみやすい。赤と黒の果実、スパイス、シルキーなタンニン、熟した果実味。ジューシーでクリーン。

  • カルラン・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    凝縮感があるがよりフレッシュでクリーンなイメージ。長期熟成も可能。

    Carlan Terrasses du Larzac Rouge カルラン・テラス・デュ・ラルザック・ルージュ

    使用ブドウ品種:グルナッシュ、カリニャン、サンソー、シラー
    タイプ:赤・フルボディ

    カルランはサン・プリヴァの近くの単一畑。石灰岩と片岩の土壌。急勾配の東向きのテラス。コンクリートタンクで15日間発酵、600Lのドゥミ・ミュイ(demi-muids)で16ヶ月間熟成。オトゥール・ドゥ・ジョンキエールよりもフレッシュなスタイルで、赤いベリー系の果実味が非常に長く続く。

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